スラットの反りを揃える

前回の記事でスラットの選別につき書きました。
では選別しないで作成したらどうなるのか? 単に必要なスラット枚数を無作為に揃えて組み立てたブラインドです。

オレンジ枠の部分に反りによる隙間が出来てしまっています。
同じブラインドをスラットの向きを揃えて作成し直したものが以下になります。

スラットは日に当たることによって反ってくる可能性がありますのでいつまでもこの状態を保てるとは限りません。 でも最初に向きを揃えて作成してあれば、経年変化による反りを目立たなくすることが出来ます。

 

スラットの選別

風祭Factoryではすでに塗装された状態でスラットを輸入しています。 日本市場向けということで工場では最高の品質基準を充たした製品のみを出荷しているはずですが、風祭Factoryでは更に選別を加えています。 以下は廃棄するスラットです。 沢山あり過ぎて勿体ないです。

天然木の無垢材ですので素材由来の節、模様等は極力受け入れるようにしています。 しかしスラットの強度に影響するもの、日本人の感覚としては汚く見えてしまうものは不合格としています。 また塗装ムラや仕上げ不良が混入していることもありしっかり選別しなくてはなりません。

最も多い不良項目が反りです。 天然木ですので均一に真っすぐなものは殆どありません。 必ず裏表どちらかに反る傾向を持っていますのでそれを揃えてスラットを組むのも職人さんの仕事です。 しかし反りのキツイものや経年変化で反りが大きくなってしまいそうなものは破棄しています。 天然のものは見極めが難しいですね。

上の写真は節ですが、所謂「死に節」ですので不合格です。 節の真ん中の組織が死んでいますので長年の間に穴が開く恐れがあります。

こちらは節であっても組織が壊れていない「生き節」なのでOKとしています。こうした節や柄はいかにも木製らしくアクセントになってブラインドに表情を与えてくれるものです。

スラットの閉まり具合

ウッドブラインドを検討する上でスラットがどれくらい閉められるか?は気になるところではないかと思います。

風祭Factoryのウッドブラインドを含めスラットの中央に穴を開けコードを通す構造のブラインドでは羽根をぴったりと閉め切ることは出来ません。 特に下側にいくにつれて閉まり具合が甘くなり、隙間から反対側がうっすら見えます。

上2枚の写真は高さ2300mmの下側部分です。

こちらは腰窓の下側です。
スラットの部屋側を上に閉めた際、上側から見下ろすとこの様に見えます。 窓の外側からの視線が気になる場合には視線の角度(上下)によって羽根の閉め方を変えることでカバー出来ます。 

また風祭Factoryでは閉め具合を向上させる為にラダーコードの間隔を標準より狭くしています。

一般的に35mmスラットの場合32mm間隔のラダーコードを使用しますが風祭Factoryでは30mm間隔のものを採用しています。 35mm幅のスラットに30mm間隔のラダーコードを採用することで計算上は上下各2.5mmスラットが重なることになり隙間を狭く見せることが出来ます。

左が30mm間隔、右が32mm間隔です。 見え方は僅かな差異ですがスラットは3枚余分に使用しています。

横長のブラインド

高さ30㎝、横幅162㎝ ダークブラウン+ウォルナットのブラインドを作成しています。 高さに合わせて作成した短いポールが可愛らしいです。

高さ200cm、横幅30cmの様な縦に細長いブラインドのご注文も増えています。 スリットの様な窓が増えているのでしょうね。

 

フレームタイプの連結

1つの窓にフレームタイプのウッドブラインドを分割(2本を連結)して設置する手順について説明します。

最初に窓中央の上下にマウントを張り付けます。 窓中央をに印をつける為の定規をブラインドに添付してありますのでメジャーが無くても正確に位置決め出来ます。

下のマウントは初期に木材で試作したものです。 現在は上側のプラスチック製になります。

次にこのマウントを挟んで左右からフレームを貼り合わせます。 貼り合わせる為のマジックテープはフレームの背面に予めセットされています。

残りの工程は通常のフレームタイプの設置方法に従い左右のブラインドを設置します。

同様な手順で3本、4本と連結して設置することが出来ます。

フレームタイプの設置手順は以下を参照下さい。

https://www.kazematsuri.com/tejun/tejun_frame.html

フレームの形状

フレームタイプに付属する左右のフレームの形状を少し詳しくご紹介します。

フレームの断面です。
下が部屋側、上が窓側になります。 窓側の方が厚みがあります。
現在は栂の無垢材とシナ合板を組み合わせた構造になっています。  無垢材の美しさ強さと合板の形状安定性の良いところを組み合わせています。

フレームの上端です。 この溝へヘッドボックスを組み合わせます。 隙間を埋める為のスポンジが付いています。 その下の少し幅の狭い溝に添って羽根が昇降します。

フレームの背面です。 窓枠へ固定する為のマジックテープ(フック側)が予め張り付けてあります。 設置する際にはマジックテープのループ側を窓枠に張り付けてからフレームを固定します。

フレームタイプの設置手順は以下を参照下さい。

https://www.kazematsuri.com/tejun/tejun_frame.html

フレームタイプの利点

弊社が独自に開発した設置用フレームが付属したウッドブラインド(フレームタイプ)は木ネジを使用しないで設置出来ます。 設置に際してはドライバーやキリなどの工具を使用しません。 DIYの経験の無い方にも簡単に設置することが出来ます。 木ネジの穴が開かないので賃貸物件にお住まいの方にもお奨めです。

フレームタイプの利点は設置が簡単だけではありません。  フレームに設けた溝に添って羽根が昇降し風に煽られてもバタバタしにくくなっています。

上の写真の様に最下部のボトムレールは羽根より長く(広く)カットしてありフレームの溝にしっかりはまっています。 一方羽根は少し短く(狭く)またエッジは角度を付けて2段にカットしてあり風が強いときにはフレームの溝から逃げられる構造になっています。

またウッドブラインドはアルミ製ブラインドに比べお掃除がしやすいのが利点ですが、フレームタイプはフレームがスラットを支えてくれるので更に拭き掃除がし易いという特徴があります。

賃貸につけられるウッドブラインド

2005,6年頃、東京渋谷のテレビでも良く登場するお店のバイヤーの方からお話しを聞きました。

「ここへ来られるお客様は大半賃貸物件にお住まいだからウッドブラインドを気に入っても木ネジで穴が開くのは困る、と言って諦めちゃう方が多いんです」
「穴を開けずに取り付けできるウッドブラインド作ってもらえませんか」

というご要望でした。 しかしそう簡単ではありません。

例えば浴室用のブラインドはツッパリ棒の方法で木ネジなしで設置出来るものがあります。 またアルミ製のブラインドであれば既設のカーテンレールに固定する金具も販売されています。でもウッドブラインドはサイズによって7~8kgにもなるのでツッパリ棒方式では安全に設置することは出来ません。 カーテンレールでは重さに耐えることが出来ずカーテンレール自体が破損する恐れがあります。

既存の方法ではない新しい方法を見つける必要がありました。 そう考えながらしばらく経ったある時「窓枠に穴が開けられないのなら、窓枠+ブラインドでセット商品にすればいいんじゃないか?」 と思いました。

そこからいろんなアイデアを試した結果、ウッドブラインドの左右に設置用の窓枠(フレーム)をくっつけてこのフレームをマジックテープで窓枠に固定する、という方式に辿りついたのです。 

こうして商品化したフレームタイプのウッドブラインドは2007年のグッドデザインしずおか選定商品に選ばれ、またユニバーサルデザインに配慮した商品であるとの評価も頂いています。

フレームタイプの詳細は以下を参照下さい。

https://www.kazematsuri.com/support/frame/

 

ヘッドカバーのコネクター

ヘッドカバーとはブラインドの頭の部分メカの入った金属製のボックスを目隠しする板のことを指します。 他社ではバランスと呼ばれていますが弊社では一般の方がイメージしやすい名前を使っています。

横幅の広い窓の場合、ブラインドを2本以上に分割することがあります。 その際にヘッドカバーは分割しないで1本で作成することをご希望になるお客様がいらっしゃいます。 窓の横幅が1830mm以内であればオプション料金を頂いて対応することは出来ますが、これに当てはまらないケースがほとんどです。

ヘッドカバーが分割される場合でもヘッドカバーにはコネクターを付けますのでずれてしまうことはありません。

ヘッドカバーの材質はスラットと同じバスウッドです。 天然木ですので色味に違いがあり見た目にまったく1本のヘッドカバーの様にはなりませんのでご留意ください。

ブラケットについて

ブラインドの設置に使用する金具をブラケットと呼びます。 設置に際しては最初にブラケットを木ネジで固定し、次にブラインド本体のヘッドボックスをこれへ固定します。

ブラケットの種類は大きく2つに区分出来ます。 下の写真で左側が日本で主に使用されている形、右が海外で一般的に使用されている形です。

右のブラケットの長所は、
・位置決めが簡単
・ヘッドボックスの固定が簡単
一方短所は、
・特に窓枠内設置の場合木ネジで固定する作業がし辛い
・カーテンボックス内への設置が出来ない

弊社では左側のブラケットを採用しています。
オーダーブラインドの場合、大半が窓枠内設置で木ネジ止めがし辛いことはお客様にとって大きな負担になります。

位置決めが難しいという短所については弊社独自の方法でお客さまのご負担を減らす工夫をしています。

こちらの窓枠内設置の手順をご参照下さい。

https://www.kazematsuri.com/tejun/tejun_wakunai.html